婿養子縁組
婿養子縁組
現在の法律では、婿養子という制度はありませんが
妻の親の養子になることができます。
貴方が考える「婿養子」とは何ですか?
1.妻の氏を名乗りたい
氏だけの場合は、婚姻のときに妻の氏を選択します。婚姻後に変更する場合は妻の親と養子縁組の必要が御座います。
2.妻の実家の跡継ぎになりたい
妻の親と養子縁組をしなくても、跡継ぎとなることができないわけでは御座いませんが、その地位は不安定ではあります。妻の親と養子縁組をすることで、妻の親の嫡出子の身分を取得することができますので、遺産相続が発生した場合、妻の親の相続人の一人となることができます。
妻の実家の敷地に婿の貴方が家を建てた場合など、離婚や相続争いになった場合、養子ではない貴方には土地の相続権は有りません。話合いで上手く解決できれば問題は御座いませんが、相続人ではない婿養子(本来は養子ではない)の立場は弱いものと言えます。
- 養子縁組をすると養親の嫡出子(婚姻中に生まれた子)の身分を取得することができます。
- 養子縁組をしても、実の両親との嫡出子関係(相続権など)に変動はありません。
- 養子縁組は父または母の一方と、することができます。その際、夫婦のもう一方の承諾が必要になります。
- 父と母の両方と養子縁組をすることもできます。
- 養親は成年に達していることが必要で、養親より年長者を養子にすることはできません。
- 妻の親と養子縁組をしても、養子が婚姻している場合は養親の戸籍に入ることは有りません。(配偶者の同意が必要)
- 婚姻の際、妻の氏を選択し、妻の親と同居をしても、妻の親と養子縁組をしない限り、養子ではありません。婚姻の際、選択した氏により婿養子となるのではなく、妻の親と養子縁組をすることで、妻の親の養子となり、更に妻と婚姻することで妻の親にとって養子であり娘婿ということになります。
- 養子縁組は当事者双方の意思の合意のもと、届出が必要です。
※ 当事務所にご相談頂くケースで最も多いのが、離縁についてのご相談となって居ります。養子縁組をされる前に充分にご検討下さい。養子縁組は婚姻同様、当事者双方の意思に基づく法律行為です。一方的な離縁は基本的にはできません。
「婿養子」言葉の誤解
現在の法律では「婿養子という制度」、「婿養子という法的身分」は御座いません。ですので、「婿養子届」も御座いません。誤解をされて居られる方が非常に多いのですが、旧法における「家制度」のもと婿養子は、家督相続人である妻の「家の戸籍」に入籍という形式で妻の家の家督相続人となることができましたが、現在は「家制度」「家督相続」「戸主」などは廃止され、婚姻をすると必ず親の戸籍から抜け夫婦二人の戸籍が新しく作られます。
婚姻より先に妻の親と養子縁組をした場合は、養親(妻の親)の戸籍に入ることになりますが、その後婚姻をすると養親の戸籍から出ることになります。
このときに、必ず夫もしくは妻の氏を選択する必要が御座いますが、氏の選択は養子縁組とは関係ありません。
妻の親と先に養子縁組をすると、養子の氏は養親の氏となり、養親の実子である妻も同じ氏ではありますが、婚姻の際には必ず氏の選択をします。その時に選択した氏を持つ方が戸籍の筆頭者(最初に記載される人)となりますが、筆頭者は法的地位ではありません。
養子になるには、妻の親と養子縁組届出をする必要があり、その後、夫婦が離婚をする場合でも、養子縁組の関係が必然的に解消されるのではなく、縁組当事者の意思の合意のもと、離縁届出をする必要が御座います。協議が調わない場合は、調停などを利用することができます。
婚姻時に妻の氏を選択しても養子という身分を取得することはありませんので、当然氏の選択により、妻の親御さんの相続人となることもありません。婚姻のときに夫の氏を選択した妻が夫の親の相続人ではないことと同様です。
婿養子縁組の氏と戸籍筆頭者
婚姻届出をするときに、夫婦は一方の氏を選択する必要が御座います。
選択された氏を持つ方が戸籍の筆頭者となります。
戸籍の筆頭者というのは、戸籍の最初に記載され、戸籍のインデックスの役目を果たして居るということで、地位を示すものではありません。
婚姻後の氏を妻の氏にすることに抵抗は無いが、戸籍の筆頭者に拘りたいとお考えであれば、婚姻前に妻の親と養子縁組をする必要が御座います。
養子縁組結婚契約書・合意書作成
婚姻後及び養子縁組後に、「そんなつもりは無かった」等とならないために、双方の意思確認をする意味で、契約書(合意書)を作成をされることは大切です。
初回30分程度まで
無料メール相談はこちらから
婿養子縁組の問題点
娘さんが先に死亡した場合や離婚した場合
夫婦が死別をしても、離婚をしても、養子と養親が離縁届をしなければ養親子関係は解消されないため、養子の相続人の地位は変わりません。
養子縁組をされる際に、後々の事を十分に御検討下さい。
娘さんの配偶者と養子縁組をせずに、娘さんの子供と養子縁組をする方法も御座います。
事情に合わせて、遺言書の作成や、養子縁組の合意書、離縁協議書の作成なども承ります。
( 合意書の法的効果が保障されるものでは有りませんが、予め互いに意思の確認をしておかれることで、後の紛争を防止できる可能性が御座います。)
婿養子の相続
二重の相続資格(妻の親と養子縁組の場合に限ります)
- 配偶者としての相続と兄弟姉妹としての相続の両方できるのでしょうか?
この場合、配偶者の相続分しか認められないのが一般的となって居ります。
まずは、御相談内容をお聞かせ下さい
初回30分程度まで
無料メール相談はこちらから
養子縁組の氏と戸籍筆頭者 手順と効果
第810条(養子の氏)
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
- 妻の親と養子縁組→養子は養親の氏になります
↓
養親の氏を称する養子と養親の実子が婚姻
↓
養子(夫)と実子(妻)2人だけの戸籍が編成され
どちらが戸籍筆頭者になっても、氏は同じ
- 婚姻の時に夫の氏を選択
↓
婚姻後、夫と妻の親が養子縁組
↓
夫は婚姻の時に氏を改めてないので養親の氏になります
↓
夫の氏が変われば、妻の氏も当然に夫と同じ氏になります。
↓
夫婦に子供が居る場合、氏を同じくする手続きが必要になります。
夫婦が婚姻中の場合は裁判所の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届出ることにより父母の氏を称することができます。
この場合子が15歳未満のときは、その法定代理人が代わりにすることができますが、未成年の子が成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めに従い届出ることで従前の氏に復することができます。
- 婚姻の時に妻の氏を選択(戸籍筆頭者は妻)
↓
婚姻後、妻の親と養子縁組をした場合、
婚姻時に氏を変更しているため、夫婦の氏は変わりません
(戸籍筆頭者も変わりません)
養子縁組
民法792条(養親となる者の年齢)
成年に達した者は、養子をすることができる。
第793条(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
第794条(後見人が被後見人を養子とする縁組)
後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年後見人)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。
第795条(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。
ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
第796条(配偶者のある者の縁組)
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
第797条(15歳未満の者を養子とする縁組)
①養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
②法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。
第798条(未成年者を養子とする縁組)
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可
を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
第799条(婚姻の規定の準用)
第738条及び第739条の規定は、縁組について準用する。
第800条(縁組の届出の受理)
縁組の届出は、その縁組が第792条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
第801条(外国に在る日本人間の縁組の方式)
外国に在る日本人間で縁組をしようとするときはその国に駐在する日本の大使、行使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、第799条において準用する第793条の規定及び前条の規定を準用する。
第802条(縁組の無効)
縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
1.人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
2.当事者が縁組の届出をしないとき。ただし、その届出が第799条において準用する第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。