後見の事務
後見の事務
- 民法853条(財産の調査及び目録の作成)
①後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、1箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
②財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければ、その効力を生じない。
- 民法854条(財産の目録の作成前の権限)
後見人は、財産の目録の作成が終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有する。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
- 民法855条(後見人の被後見人に対する債権又は債務の申出義務)
①後見人が、被後見人に対し、債権を有し、又は債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければならない。
②後見人が、被後見人に対し債権を有することを知ってこれを申し出ないときは、その債権を失う。
- 民法856条(被後見人が包括財産を取得した場合についての準用)
善上の規定は、後見人が就職した後被後見人が包括財産を取得した場合について準用する。
- 民法858条(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
- 民法859条(財産の管理及び代表)
①後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
②第824条ただし書きの規定は、前項の場合について準用する。
- 民法859条の2(成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
①成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
- ②家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを取り消すことができる。
- ③成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その1人に対してすれば足りる。
- -民法859条の2(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
- 民法860条(利益相反)
第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人が有る場合は、この限りでない。
826条(利益相反行為)
①親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
②親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その1人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
- 民法862条(後見人の報酬)
家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
- 民法863条(後見の事務の監督)
①後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
②家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。
- 民法864条(後見監督人の同意を要する行為)
後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第13条第1項各号に掲げる行為をし、又は未成年後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第1号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
- 民法865条
①後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取消すことができる。この場合においては、第20条の規定を準用する。
- 民法866条(被後見人の財産等の譲受けの取消し)
①後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲りうけたときは、被後見人は、これを取り消すことができる。
この場合においては、第20条の規定を準用する。
②前項の規定は、第121条から第126条までの規定の適用を妨げない。