公序良俗とは
公序良俗とは
民法90条(公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効とする。
公の秩序とは社会の一般的利益、善良の風俗とは社会の一般的な道徳を意味し、これらに反する行為は無効と民法で規定されて居り、この規定は「強行規定」といわれるもので、当事者の意思に左右されずに適用されます。
強行規定に違反する法律行為は一般的に無効となります。
契約の自由と公序良俗
- 契約自由の原則
- 契約締結の自由(契約を締結するか)
- 相手方選択の自由(誰と契約するか)
- 契約内容の自由(どのような契約をするか)
- 契約方法の自由(どのような形式でするか)
契約自由の原則とは、これらを国家の干渉を受けずに自由に締結することができるという原則です。
このように契約の自由が認められて居りますが、無制限に認められてしまうと社会の秩序が乱れる恐れがあるので、公序良俗に反する事項を目的とする行為は無効と定めてあるのです。
- 過失責任の原則
- 故意、過失がなければ損害賠償責任を負わされることがないという原則
しかし、現在では被害者保護の観点から「 無過失責任 」が生まれ、民法でも土地の工作物の所有者には無過失責任が認められています
- 故意、過失がなければ損害賠償責任を負わされることがないという原則
公序良俗に関する判例 Q&A
Q.犯罪行為を行わないことを条件として対価を与える契約は有効か?
A.公序良俗に反し無効である。
押収の金銭は被告等が名誉棄損の犯行を行わないことに対して被害者との間に授受されたものであることは明白であり、このような不法行為を行わない対価として金銭を授受する行為は、取消しをまたずに法律上無効であるから、これにより当該金銭の所有権移転がなされないことは当然である。
Q.将来不和を生じて離婚する場合には、配偶者に対して金銭を交付するという契約は有効か?
A.有効である
夫婦関係の継続中、夫が妻に対し自分から不和をかもして妻と離婚する際には、一定の金銭を交付すべき旨の契約をしたときは、当事者はこれにより、夫が理由なく妻と離婚しないことを期して、婚姻関係の継続を図ったのであるから、何ら善良の風俗に反しない。
Q.配偶者のある者が不倫の関係を絶つことを目的として、慰謝料として金品を贈与することは有効か
A.有効である。
私通関係のある男女が将来その情交をやめることを互いに決意し慰謝する目的で金員の贈与を約することは、私通関係をやめることを当該契約の内容とするものではなく、また、もとより私通奨励の結果を招来するおそれがなく、公の秩序はもちろんのこと善良の風俗にも反しない
Q.賭博の用に供されることを知って行う金銭消費貸借契約は有効か
A.公序良俗に反して無効である。
貸与される金銭が賭博の用に供されるものであることを知ってする金銭消費貸借契約は公序良俗に違反し無効である